キッチンカー資金繰り3ヶ月計画の立て方
開業後の運転資金を確実に回す方法【AFP監修】
なぜ3ヶ月分の資金計画が重要なのか
出典:日本政策金融公庫「新規開業パネル調査2021年12月」
キッチンカー事業を始める多くの方が、開業資金の準備には力を入れますが、開業後の運転資金を軽視しがちです。しかし、実際には売上が安定するまでの最初の3ヶ月間が、事業継続の最も重要な時期となります。
重要:飲食店の資金繰りで必要とされる運転資金は、通常3ヶ月分から6ヶ月分です。特に季節や天候により売上が変動しやすいキッチンカーでは、十分な資金準備が不可欠です。
3ヶ月という期間の根拠
11ヶ月目:試行錯誤期
出店場所の開拓、メニューの調整、オペレーションの改善など、売上が不安定な時期
22ヶ月目:改善期
1ヶ月目の反省を活かし、徐々に売上が向上し始める時期
33ヶ月目:安定化期
固定客が付き始め、売上予測が立てやすくなる時期
キッチンカー運転資金の内訳
月間運転資金の標準的な内訳
項目 | 金額(目安) | 備考 |
---|---|---|
仕入れ費(原価率30%想定) | 90,000円 | 月商30万円の場合 |
ガソリン代 | 20,000円 | 移動距離により変動 |
プロパンガス代 | 15,000円 | メニューにより変動 |
駐車場代 | 20,000円 | 地域により差あり |
出店料 | 40,000円 | 5,000円×8回出店 |
保険料(車両・PL保険) | 15,000円 | 年払いの場合は月割り |
消耗品費 | 20,000円 | 容器、ナプキンなど |
通信費・広告費 | 10,000円 | SNS広告含む |
車両メンテナンス積立 | 10,000円 | 定期点検用 |
生活費(最低限) | 150,000円 | 個人差あり |
合計 | 390,000円 | 約40万円/月 |
見落としがちな支出項目
必ずチェックすべき項目
- 営業許可更新費用(年1回)
- 車検・法定点検費用
- 食品衛生責任者講習会費用
- 確定申告時の税理士費用
- 急な修理・故障対応費
- 季節商材の仕入れ増加分
3ヶ月分の運転資金を計算する
STEP1
月間支出を
リストアップ
STEP2
売上予測を
保守的に設定
STEP3
収支差額を
計算
STEP4
3ヶ月分の
必要資金確定
3ヶ月資金繰り計画シミュレーション
項目 | 1ヶ月目 | 2ヶ月目 | 3ヶ月目 | 合計 |
---|---|---|---|---|
売上予測 | 200,000円 | 250,000円 | 300,000円 | 750,000円 |
支出合計 | 390,000円 | 390,000円 | 390,000円 | 1,170,000円 |
収支差額 | -190,000円 | -140,000円 | -90,000円 | -420,000円 |
必要運転資金 | 420,000円以上 |
※月40万円×3ヶ月で計算
🚚 キッチンカーBCP作成サービス
資金計画を含む、包括的な事業継続計画を専門家が作成
※ AFP・運行管理者資格を持つ専門家が
あなたの事業に最適な資金計画を策定します
資金調達の選択肢
1. 日本政策金融公庫の活用
新規開業・スタートアップ支援資金
2025年3月より名称変更された制度。無担保・無保証人で最大3,000万円(運転資金1,500万円)まで融資可能。
自己資金の2~3倍が融資額の目安です
2. 融資を受けるためのポイント
審査通過のための必須項目
- 自己資金が融資希望額の1/3以上あること
- 飲食業での実務経験(最低6ヶ月以上推奨)
- 具体的な事業計画書の作成
- 資金使途の明確な説明(見積書等)
- 返済計画の現実性
- 信用情報に問題がないこと
注意:融資申請から実行まで1~2ヶ月かかるため、開業前の早い段階で準備を始めることが重要です。
3. その他の資金調達方法
1小規模事業者持続化補助金
販路開拓等の取り組みに対して最大50万円(補助率2/3)の支援
2地方自治体の支援制度
キッチンカー導入支援補助金(自治体により30万円程度)
3クラウドファンディング
地域密着型のキッチンカーは支援を得やすい傾向
月次キャッシュフロー管理の実践
日次管理の重要性
毎日記録すべき項目
- 売上高(現金・キャッシュレス別)
- 仕入れ支出
- その他経費(ガソリン、出店料等)
- 現金残高
- 明日の仕入れ予定額
週次での振り返りポイント
売上分析
曜日別・場所別の
売上傾向把握
原価率チェック
目標30%に対する
実績確認
資金残高確認
翌週の支払い
予定との照合
改善策立案
次週の
行動計画策定
月次決算の実施
月次損益計算書の例
項目 | 金額 | 売上比率 |
---|---|---|
売上高 | 300,000円 | 100% |
売上原価 | 90,000円 | 30% |
売上総利益 | 210,000円 | 70% |
販売管理費 | 150,000円 | 50% |
営業利益 | 60,000円 | 20% |
資金ショート対策と緊急時の対応
資金ショートの前兆を見逃さない
以下の兆候が見られたら、早急な対策が必要です:
- 仕入れ代金の支払いが遅れがち
- キャッシュレス決済の入金待ち資金に依存
- 生活費を削って事業資金に回している
- クレジットカードのリボ払いが増加
緊急時の資金繰り改善策
1即効性のある対策
・在庫の現金化(メニュー限定セールなど)
・出店場所の見直し(利益率の高い場所に集中)
・仕入れ先との支払い条件交渉
2短期的な対策
・メニューの見直し(原価率の改善)
・固定費の削減(不要なサービスの解約)
・日本政策金融公庫への追加融資相談
3根本的な対策
・ビジネスモデルの見直し
・固定客の獲得強化
・複数収入源の確保(ケータリング等)
資金繰り管理ツールの活用
おすすめの管理方法
Excel/Googleスプレッドシート活用法
- 日別売上・支出管理表の作成
- 自動計算式による原価率・利益率の可視化
- グラフ機能による売上推移の把握
- 予実管理による計画との差異分析
キャッシュレス決済の活用メリット
売上データの自動記録
Square、PayPayなどのモバイル決済を活用することで、売上データが自動的に記録され、経理業務が効率化されます。また、売上分析機能により、時間帯別・商品別の売上傾向も把握できます。
注意点:キャッシュレス決済は入金までにタイムラグ(2-7日程度)があるため、資金繰り計画に組み込む必要があります。