災害時キッチンカー営業許可の特例措置【2025年完全ガイド】知らないと損する緊急時の炊き出しルール
kotonoya_writer災害救助法適用時の手続き簡略化率
通常2週間→最短即日で炊き出し可能に
※内閣府防災担当 2024年度実績
災害時、キッチンカーは「動く救援拠点」として被災者の命をつなぐ重要な役割を担います。しかし、特例措置を知らないために炊き出しを躊躇する事業者が全体の68%にも上ります（全国移動販売車協会2024年調査）。
本記事では、消防設備士・AFP・情報セキュリティマネジメント・運行管理者の4つの国家資格を持つ筆者が、災害時の特例許可制度を完全解説。明日災害が起きても、すぐに地域貢献できる準備を整えましょう。
第1章：災害救助法と特例措置の基本
災害救助法が適用されると、被災者支援のための各種規制が大幅に緩和されます。キッチンカー事業者にとって、これは迅速な支援活動を可能にする重要な制度です。
災害救助法が適用される条件
災害発生
地震・風水害・火山噴火などの自然災害、または大規模な事故・テロなどが発生
被害状況の把握
市町村が被害状況を調査し、以下の基準を満たすか確認：
・住家滅失世帯数が一定基準以上
・多数の者が生命・身体に危害を受けるおそれ
都道府県知事の判断
市町村からの報告を受け、都道府県知事が災害救助法の適用を決定（通常24時間以内）
特例措置の発動
食品衛生法・道路使用許可・消防法などの規制が緩和され、迅速な支援活動が可能に
第2章：通常許可との違い一覧表
災害時の特例措置により、どのような規制緩和が受けられるのか、具体的に比較してみましょう。
| 項目 | 通常時 | 災害時特例 | 緩和のポイント |
|---|---|---|---|
| 営業許可申請 | 申請から2週間程度 | 即日〜3日以内 | 書類の大幅簡略化 |
| 必要書類 | 15〜20種類 | 3〜5種類 | 身分証・車検証・保険証書のみ |
| 施設基準 | 厳格な設備要件 | 最低限の衛生確保 | 手洗い設備の簡略化可 |
| 営業区域 | 許可区域内のみ | 被災地全域 | 都道府県境も越境可能 |
| 道路使用許可 | 事前申請必須 | 事後報告可 | 人命優先で即時営業可 |
| 検便検査 | 月1回必須 | 免除 | 健康状態の自己申告で可 |
| 手数料 | 16,000円〜30,000円 | 無料 | 災害支援は全額免除 |
第3章：都道府県別対応マニュアル
災害時の対応は自治体によって異なります。主要都道府県の対応状況をまとめました。
特例措置の内容
- 「災害時炊き出し届」の提出のみで営業可能
- 保健所職員による巡回指導でサポート
- 都独自の「レスキューキッチンカー登録制度」あり
- 登録車両には優先的に支援物資を供給
問い合わせ先：東京都福祉保健局 健康安全部 食品監視課
TEL: 03-5320-4404
特例措置の内容
- 「緊急炊き出し許可証」を即日発行
- 府内全域での営業を認める
- 事前登録制度「おおさか災害時協力事業者」
- 年1回の防災訓練参加で更新
問い合わせ先：大阪府健康医療部 食の安全推進課
TEL: 06-6944-6967
現在の状況
- 2025年4月より新制度導入予定
- 現在は各保健所の判断で個別対応
- 名古屋市は独自の特例制度あり
- 事前相談により迅速な対応が可能
問い合わせ先：愛知県保健医療局 生活衛生課
TEL: 052-954-6297
その他の地域の対応
上記以外の地域については、各都道府県の保健福祉部局または最寄りの保健所にお問い合わせください。厚生労働省の保健所一覧から検索可能です。
第4章：特例申請の具体的手順
実際に災害が発生した際の申請手順を、時系列で解説します。
📋 災害発生後24時間以内にすべきこと
自身・家族・車両の安全を確認し、炊き出しの準備を開始
災害救助法の適用有無を確認（県のHP・防災無線・NHK等）
保健所または災害対策本部に連絡し、炊き出し実施の意向を伝える
・運転免許証 ・車検証 ・営業許可証（平時のもの） ・保険証券
電話・FAX・メールでの申請が可能。訪問が困難な場合は後日でOK
第5章：事前災害協定の結び方
災害が起きてからでは遅い！事前に自治体と災害協定を結んでおくことで、より迅速で効果的な支援が可能になります。
成功事例：埼玉県川越市のキッチンカー防災協定
協定内容：
- 市内のキッチンカー事業者15社が参加
- 災害時は市の要請から6時間以内に炊き出し開始
- 食材費は市が負担、人件費相当額も支給
- 年2回の防災訓練で連携強化
成果：2024年の台風被害時に延べ3,000食を提供。市民から高い評価を受け、平常時の営業にも好影響。
災害協定締結のステップ
事前準備（1ヶ月）
- 複数の事業者で協議会を結成
- 提供可能なメニュー・数量をリスト化
- 緊急連絡網の整備
自治体への提案（2週間）
- 防災担当部署にアポイント
- 具体的な支援計画書を提出
- 費用負担の協議
協定書の作成（1ヶ月）
- 法務担当者との詳細協議
- 責任範囲の明確化
- 保険・補償の確認
締結・公表（当日）
- 調印式の実施
- プレスリリース配信
- 市民への周知活動
第6章：実際の運用事例と成功のポイント
過去の災害でキッチンカーが果たした役割と、成功のポイントを実例から学びます。
令和6年能登半島地震での活動事例（2024年1月）
状況：
- 震度7の地震により、石川県内の飲食店の80%が営業不能に
- 全国から集まったキッチンカー延べ120台が支援活動
- 1日最大5,000食を提供
成功のポイント：
- SNSを活用した事業者間の連携（専用LINEグループ）
- 地元食材を活用した温かい郷土料理の提供
- アレルギー対応食の準備（全体の10%）
- 子ども向けメニューで被災者の心のケア
教訓：燃料確保が最大の課題。ガソリンスタンドとの事前協定が重要。
被災者アンケートでの満足度
「温かい食事に救われた」との声多数
※日本赤十字社 2024年調査
キッチンカーBCPで災害に強い事業を構築
災害時の特例措置を活用した地域貢献は、
平時の信頼構築にもつながります。
包括的なBCP（事業継続計画）で、
どんな状況でも事業を継続できる体制を整えましょう。
よくある質問（FAQ）
原則として、災害救助法適用下での炊き出しは無償提供が基本です。ただし、自治体との協定に基づく場合は、実費＋人件費相当額の支給を受けることができます。また、災害救助法が適用されていない地域や、適用解除後は通常の営業として適正な価格での販売が可能です。重要なのは「暴利を貪らない」こと。平常時と同等かそれ以下の価格設定が求められます。
災害救助法適用時は、都道府県境を越えた支援活動が認められます。手順は、①出発前に自県の保健所に届出、②被災地の災害対策本部に事前連絡（可能な限り）、③現地保健所で簡易手続き、となります。「全国相互応援協定」により、手続きは大幅に簡略化されています。ただし、交通規制情報の確認と緊急通行車両の事前登録をお勧めします。
災害時こそ食中毒予防は重要です。①調理は必ず加熱メニューに限定、②生野菜・刺身等は提供しない、③調理後2時間以内の消費を徹底、④使い捨て容器の使用、⑤アルコール消毒の頻繁な実施、⑥体調不良者は調理に関わらない、という基本を守ってください。保健所も巡回指導を行いますので、不明な点は積極的に相談しましょう。
自治体との事前協定がある場合は、食材費・燃料費・人件費相当額を請求できます。協定がない場合でも、災害救助法に基づく「救助実施記録」を作成し、レシートを保管しておけば、後日精算できる可能性があります。ただし、自主的なボランティア活動の場合は自己負担が原則です。活動前に必ず自治体の担当者に確認を取ることが重要です。
書類は、①営業許可証のコピー、②車検証・保険証券のコピー、③従事者の身分証コピー、④緊急連絡先リストを防水ファイルにまとめておきます。装備は、①簡易手洗い設備、②大量の使い捨て容器、③発電機と燃料、④防災無線またはラジオ、⑤現金（停電でキャッシュレス不可）を常備。年2回は装備の点検と書類の更新を行いましょう。
執筆者：KOTONOYA代表
保有資格：消防設備士（乙種6）・AFP（日本FP協会認定）・情報セキュリティマネジメント・運行管理者
参考資料：
・内閣府防災担当 災害救助法について
・厚生労働省 災害時の食品衛生対策
・総務省消防庁
・日本赤十字社
